現在、政府では中小企業の経営を支援するためにさまざまな補助金制度を用意しています。その補助額は過去最大級ですので、新たなビジネスを始める場合やシステムを導入するならば、活用しない手はありません。
しかし、中には補助金に採択されたことによって逆に経営が悪化してしまったという企業も増えています。なぜそういった事態が起こるのか、それにはいくつかの理由があります。
本記事では、補助金導入支援コンサルタントとして活動する私が、補助金を獲得して「伸びる企業と伸びない企業の違い」について解説します。
これから事業再構築補助金の申請にチャレンジしたいとお考えの方に参考になれば幸いです。
補助金活用の目的意識の違い
補助金を活用して伸びる企業と、伸びない企業の違いは「補助金」に対する目的意識が大きく違います。わかりやすくいえば、補助金がなくてもやるかどうか？といった本気度の違いです。
そもそも補助金制度の目的は、企業の成長に対して支援することなので、誰でも貰えるものでもないですし、売上減少の補填ではありません。
伸びない企業は、補助金を取ること自体が目的になっており「補助金がもらえるならやりたい」といった程度の気持ちで事業計画を作成していますので、本気度が伝わりません。
逆に、伸びる企業は補助金に採択されようがされまいがやることは決めていて、そのために明確な事業計画や準備を進めています。
そのため、補助金が取得できなかったら成立しないような、補助金ありきの事業計画になっている場合などは収益性に疑問が残ってしまうため、不採択の可能性が高まりますし、仮に採択されたとしても上手く活用することは難しいようです。
導入支援業者の話に乗せられている
事業再構築補助金やIT導入補助金は、導入支援業者と一緒に事業計画を立てていきます。ベンダー側からすれば、自社のサービスを導入してもらえるビジネスチャンスなので、多くの企業が積極的に営業活動を行っています。
しかし、「安くシステムを導入できるならいいか」と軽い気持ちで提案を受け入れてしまうと、後々上手くいかないことも多いです。なぜならベンダー側は自社の儲けが優先なので、自社が売りたい商品を売ることが目的になっていることが多いです。
いくら安くシステムを導入できるといっても、補助金は全額ではありませんし、導入時は一度全額負担しなければなりません。中には悪徳業者も存在しており、見積もりに補助額分を水増ししているケースもあります。
そのため、安易に営業マンの話に飛びつくのではなく、本当に信頼できる企業なのか調査することや、提案を受けた製品が自社にとって必要なものなのかを見極めることが重要です。
必要かどうかの判断は儲けにつながるかどうかで考えると良いでしょう。いくら便利なシステムであっても、コスト削減や売上アップにつながらなければ全て無駄な投資となってしまいます。
導入後の運営サポートがないため使われない
補助金獲得後に伸びない企業に多いのが、システムを導入したは良いが結局使われなくなったというパターンです。
例えば、ある飲食店ではネット通販事業をスタートするために補助金を活用してWebサイトを新たに制作しました。一見美しくデザインされたサイトですが、月の売上はわずか数万円。Webサイトをどのように活用していくかという運営サポートもないため放置状態になっている、といったケースです。
他にも働き方改革の一環でデジタルツールを導入したものの、現場での活用が浸透せず、結局元々のやり方に戻ってしまったという話も聞きます。
システム導入後に上手く行っている企業は、導入前の事業計画がしっかりしており、いつまでにどのような状態を目指すかを数値で落とし込んでいます。また、ベンダーには運営サポートが付くかどうかもあらかじめ確認し、導入後は定例会議を実施することで、素早い検証・改善を行っています。
まとめ
補助金を導入して伸びる企業と伸びない企業の違いについて解説しました。
特にこれから補助金を活用しようと考えている企業は次の3つを意識することが大切です。
- 補助金活用の目的を明確にする
- 自社の儲けに繋がるシステムを導入する
- 補助金獲得後のサポート体制を検討する
補助金の採択やシステム導入はあくまでも手段です。自社が描くゴール・目標に対して、補助金を活用し、どのようなシステムを導入するかは、大きな経営判断ですので、この機会に自社の事業を見つめ直すことをおすすめします。
もし、新たなチャレンジをしたいけれど、どのようなビジネスができるかわからないといったお悩みをお持ちの方は、お気軽に当社までご相談ください。
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